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北野 謙

時間の部屋

2024/9/27(金)~11/24(日)

【アーティストステートメントから】

一般に写真行為は、写真を「写す」や「撮る」という言葉で語られます。しかし本音を言うと、私はどちらもしっくり来ません。私が一番ピッタリするのは「現れる」です。〈する〉でも〈される〉でもない、過程の中の行為。自分のコントロールする範囲を超えた領域にアクセスすることは、写真の特徴の一つだと思っています。東條會舘ではこれまで膨大な数の婚礼や家族写真のほか、三島由紀夫の楯の会、昭和天皇、エリザベス女王の写真などの歴史的な写真が「現れ」てきました。写真はたとえ写した人が亡くなった後も、写された人や建物がなくなった後も残ります。つまりあらゆる写真はやがて遺影になるのです。別の言い方をすると、写真は未来に繋がっていると言えます。私たちは写真を通して、未来の他者とコミュニケーションしているのかもしれません。今回の展示では、建物の各フロアにインスタレーションした「未来の部屋」「写真の部屋」「過去の部屋」「現在の部屋」そして「百年後の部屋」という、時間や記憶にまつわる体験的な展示を巡っていただきます。相変わらず「今、ここ、私」が過剰に強調され続ける時代です。 しかし思い切って、「今」や「ここ」や「私」の1点に焦点を絞るの「じゃ な い 側 」を見てみる。茫漠とした、アンフォーカスの向こう側の世界を、想像しながら、眺めることはできないでしょうか?

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北野謙 略歴

写真家。人間の視覚を超えたところに現れるヴィジョンを写真を用いて表現する。世界各地の様々な文化や立場の集団を訪ね、数十人の肖像を暗室で多重露光して1枚の写真に焼き付ける「our face」シリーズでは、これまで世界各地の人々約1万人の他者を撮影。各地にカメラを設置して、太陽を〈冬至―夏至〉の長期間撮影する「光を集める」などの作品がある。国内外で展示会多数。作品は東京都写真美術館、東京国立近代美術館、J・ポール・ゲティ美術館(アメリカ)など、内外の美術館にコレクションされている。

連続講座「イメージの痕跡」中尾拓哉×北野謙

2024/10/11(金)&2024/10/25(金)

協賛MEM 荒川技研工業株式会社

グラフィック町口 覚

会場施工ヒロセガイ

寄稿打林 俊(Stylo Rouge)

主催・運営・企画|株式会社東條會館

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